セッションについて
ベーシック10
ロルフィングは10回のセッションで身体構造を再統合して行きます。
各セッション毎にテーマがあり、そのテーマに従ってセッションは進められます。
セッション1
第1セッションのテーマは『呼吸』です。
呼吸をする時に胸郭がどのよう使われていているか、クライアントの人と共に探って行きます。吐きやすいあるいは吸う方がやりやすいなどの特徴があります。
うまくいっていないと、胸郭の両サイドの部分のみが使われていたりなど、効率の悪い呼吸になってしまいます。
このセッションでは、横隔膜を緩めることでよりスムーズに呼吸が出来ることが理解できます。
人によっては呼吸の意識が体の下方部いきます。例えば骨盤あたりまで意識することができるかもしれません。
つまり、ただ息を吸う際に肺や横隔膜だけに意識を向けるのではなく、
いわゆる「体全体で呼吸をしているようなイメージ」が実感できるというわけです。
呼吸がより多く出来ようになることで、生理学的な変化も体に起こります。
なぜ第1回目のテーマが「呼吸」かというと、
今後のセッションのために、スムーズな呼吸で組織の新陳代謝を促し
結合組織が変化するように準備をおこなうためなのです。
ロルフィングは「結合組織」と呼ばれるものに影響を与えながら進めるワークです。
組織が柔軟性を取り戻すことで体の変化を助けることになります。
セッション2
第2セッションでは、『グランディング』(地面につく感じ)です。
あなたの足が地上にうまく接して、下からのサポートが
骨盤にうまく伝えられているかどうかを見ます。
これがうまくいっていないと、疲れやすかったり怪我のしやすい立ち方・歩き方になってしまうのです。
セッションの前に自分の脚に注意を向けてください。
地面に自分の足がどのようについているかを意識することで、ワーク後のグランディングがより明確になります。
右足と左足の長さの違いのせいで足裏の感覚に違いがあったり、足の底のアーチが高かったり低かったり、
足首の角度の違いや膝が開いているのか、 あるいは閉じているのかで歩き方に違いがでてきたりします。
足は上の胴体に対する影響がとても大きい部分です!
自分の足がどのように形づくられていて、どのような歩き方をしているのか知ることは、 この後のセッションでも非常に大切です。
理想的な歩き方をするためにどのような足の使い方をすればよいのか、この第2セッションで学習して行きます。
セッション3
第3セッションのテーマは『両側の体側のライン』です。
体の側面(腕、脇の下から骨盤にかけて)の線を前と後ろに分けてラインを確立させます。
体の”前側にあるべきもの”と”後ろ側にあるべきもの”を分けることは、 オレオというクッキーをイメ−ジすると分かりやすいかと思います。
オレオの中心にはクリームがあり、そのクリームを挟んで前後にクッキーがあります。
体で言うとクリームは背骨の部分を指し、クッキ−は背骨の前後にある組織ということになります。
このセッションでは、 前と後ろの区別をすることで、中心にある背骨に対する前後の圧力をとります。
ここで背骨の圧力を小さくすることで、次回のセッションで体の深い部分へのアプローチがやりやすくなります。
これら、第1、第2、第3の各セッションは、 この後に続く5、6、7のコア(芯)セッションの為の準備とも言え、
小さい意味でのセッションの完結とも言えます。
セッションを止める時は、このセッションの後にします。
セッション4
第4セッションからは、コアのセッションに入ります。
『骨盤・底部』を自由にしていきます。
両脚の内側から骨盤、脊柱の前面を通り頭蓋骨までの 体の中心部にスペースを作っていきます。
セッション後は体の中心から外に広がるような、開放的な感じがするでしょう。
生体エネルギーが上方に流れるようになった気分ですね。
ふつう 、脚が骨盤を引っ張っているために、骨盤の底に制限を与えています。
この4番目のセッションでは、 特に脚と骨盤がそれぞれ独立した動きが出来るようにします。
実際に歩いてみると、セッション前後の差が感覚的によく分かります。
太ももの内側にある”内転筋群”を緩めることにより、 両脚が骨盤を引っ張る力を開放してやります。
その結果、骨盤の底にほどよい張り(トーン)が出来るのと同時に、 骨盤の上の部分が緩むことで腹腔に空間ができて、
次に続くセッションの助けになります。
セッション5
第4セッションで内転筋にワークすることで、初めて骨盤を下から開放しました。
この第5セッションも骨盤のセッションです。『骨盤・正面部』を開放していきます。
ワークの範囲は、膝から上、肩より下、脊柱の前面の部分にかけて行われ、腹直筋と大腰筋のバランスをとっていきます。
さて、この大腰筋は脚を持ち上げる時に使われていますが、 多くの場合短くなっていて腰の脊椎を極度に曲げていたり、また左右どちらかがより短くなっているために上体にねじれ・ゆがみを作る原因になっていたりします。
セッション6
第6セッションでは、『骨盤・後方部』がテーマです。
具体的には ”仙骨””尾骨”の二つを自由に動けるようにしていきます。
お尻の中にある筋肉や靭帯にワークすることで、骨盤を後ろ側から開放し、仙骨・尾骨がより動くようにさせます。
また、同時にこのセッションでは骨盤と背骨との関係も見ていきます。
脊椎の骨の溝(グルーブ)や、背中の靭帯、背骨の横を縦に走る大きな筋肉などに対してワークし、より背骨が自由に動けるようにします。
仙骨、尾骨、背骨をフリーにし、足から起こる動きが 骨盤→背骨→肩 へとスムーズに流れるようにし、体を動きやすくします。
セッション7
第7セッションは、『肩から首・頭蓋』にかけてワークして行きます。
肩の部分は、ロルフィングでは、一つの”ダイアフラム”として表現されます。
ダイアフラムとは、重力じゃまするもののことで、体の数カ所にあります。
たとえば足の平のアーチ・膝・骨盤底・呼吸の横隔膜・肩の水平ライン、あご、小脳テント(頭の中にあり大脳と小脳を分けている膜)などがダイアフラムです。
これまでのセッションで胸までのコアスペースをオープンにしていますが、
このセッションではさらに空間を頭頂まで導きます。
(腕)肩、首へのワーク、顎、口蓋、鼻、頭蓋にワークして首が胴体に乗るようにします。
このセッションまで来ると重力のラインが感じられ、上から体がリフトされている感じがわかります。
生体エネルギーも人により上下に流れているのが感じられます。
セッション8、セッション9
第8セッションから残り3回のセッションは、統合のためのセッションです。
第10セッションでの完了に備え、 第8セッションと第9セッションでは、これまでのセッションでやりのこした部分に対してワークしていきます。
そうすることで、体の各部分が体全体の動きとして表現できるようになり、エネルギー的に体全体が繋がるようになっていきます。
基本的に、上半身と下半身に分けてセッションします。
重力に沿ったライン(縦方向への伸び)が上下どちらに制限を与えているかをチェックし、制限のある側に対して先にワークします。
これらのセッションでも、これまでのセッションでもワークの中で見てきた様な構造的な見方に加えて動的な物に注意を向けます。
いままでのセッションで、 足首、膝、骨盤、肩、頭のバランスが三次元的にとれているかを扱ってきました。
それに加えて、今回のセッションでは体を動かしている時にも それぞれの体のつながりが失われていないかを見ていきます。
たとえば、リブケージ(胸郭)、肩甲骨、内臓、四肢、骨盤、背骨などが体の動きにまだ制限を与えているかもしれません。
また、座っている時と立ったときとを比べた場合にその人の体にの制限が見えるかもしれません。
これらのセッションでは、今までしてきたことと同じ事はせずに、 体が最も生き生きするワークを行っていきます。
セッション10
第8セッションから残り3回のセッションは、統合のためのセッションです。
第10セッションは、全てを完結に導きます。
中心にラインが出きるようにして、ベーシック10セッション完了後も体が変わり続けられるようにします。
ベーシック10セッションはひとまずここで終わりです。
場合によっては、1つか2つの追加セッションを行う場合もあります。
これまで学んだことをそれぞれの生活で応用し、機能させていくことで、 半年あるいは1年もの間体は変わり続けていきます。
ベーシック10セッション後の体の調整は、重力によってなされると言うとイメージしやすいと思います。